6月1日(土)と2日(日)、Soanプロジェクトwith手鞠とSoanプロジェクトwith芥は高田馬場AREAの舞台上に集まっていた。今年は、2日間に渡って開催。この日のライブへ「Soanプロジェクト3rd Anniversary 2days Oneman Live『理想郷~Soan Birthday Special Live~』」と名付けたように、初日は、Soanの誕生日とSoanプロジェクトの3周年を祝う祭りの日。
毎年、Soanの誕生日に開催となる周年ライブは、Soanプロジェクトwith手鞠とSoanプロジェクトwith芥が一堂に会す貴重な機会であるのと同時に、今年の2日間の公演には、Soan自身のいろんな想いが折り重なっていた。
初日となった6月1日の題名に掲げたのが、「理想郷」。Soanが求めた理想郷とは一体どんな風景だったのか、それをここにお伝えしよう。
Soanプロジェクトwith手鞠
「どれだけの月日が流れても、たくさんのものを得て、それ以上のものを失って。それでも僕が僕でいれるのは、最初の気持ちを忘れずにいれるからでしょう。たとえ君が変わってしまっても、僕は何度もこの言葉を……ただいま」。
心を優しくなでるように響くSachiのヴォイオリンとSoanのピアノの音色。今宵の幕を開けたのは、『夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処』。3年前、Soanプロジェクトwith手鞠が初めてライブを行ったときにも冒頭を飾ったのが『夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処』だった。当時はSoanが、そして手鞠自身も、前のバンドの活動を止め、暫し期間を置いたうえで新たな姿を示す形を持って行ったライブだった。まさに、タイトルへ記したような想いを抱きながら。二人は活動の再開を待っていたファンたちへ「ただいま」と挨拶をするように、この歌から新たな始まりを告げた。その楽曲を、次のステージへ向かうために一度閉じる幕引きのライブの冒頭へ持ってきたところが、とても象徴的と言えようか。
これまでの歩みを回想するように、手鞠が、Soanが、舞台にたたずむメンバーの誰もが、心に郷愁を抱きながら、歌声と旋律をフロアへ零してゆく。その調べに引き寄せられた心は、在りし日の温かい風景を胸の中に描き出していた。それが、その人自身の心に巣くう(心を救う)理想郷の姿だと言うように…。
感情を押し殺したようなSoanの奏でる切々としたピアノの調べに乗せ、Soanプロジェクトwith手鞠は『相対する質量の交錯する熱量』を歌い奏でだす。次第に熱を帯びる手鞠の歌声へ寄り添うように、演奏も少しずつ熱を帯びてゆく。高ぶる気持ちが、サビ歌を介し心の中で小さな渦を巻きだした。熱が巡る。それは、悲喜の表情に心が揺れる証。手鞠の歌声の温もりに優しく抱かれていたい。そして、一緒に少しずつ心に熱を沸き立てたい。
「Soanプロジェクトが3歳を迎えました。何かを3年続けるのはとても難しいこと。Soanプロジェクトが3年間止まることなく、目標を持って歩み続けてこれたのを誇りに思いますし、みなさんをここまで一緒に連れてこれたのがとても嬉しいこと。Soanさんが込めてきたものをすべて、今日と明日でお見せします」
祐弥の奏でる二胡の調べが、触れた人たちの心を、遥か古(いにしえ)の世界へ連れ出した。ひと言ひと言を零すように手鞠が歌いだしたのが、『黄昏色に融解する視界と屈折した類推(アナロジー)』。「誰にも心許さずに生きる術があるなら、それは人の形をとどめる異形」と歌う手鞠の歌声が、観客たち一人一人の思い描く理想郷の中へ、挿すような彩りを与えてゆく。二胡とヴォイオリンの音色が重なるほどに、そこへは現実から乖離した桃源郷が映し出されてゆく。我々一人一人が、この世界で異形のような存在であるのなら、その異形が人たり得る世界がそこには広がりだしていた。想いを馳せるように、誰もが心の奥底に広がる物語の中へ身を投じていた。エンディングで流れた二胡の調べの、なんともの悲しかったことか。
切々としたピアノの調べ。 「時が経つにつれ、誰かの中で薄れてしまう記憶。最初に声を忘れたわたしに、後に残るのは何だろう。そのときわたしは、どんな顔をすればいいんだろう」
失くしたものを今でも忘れずに想う心。Soanにとって"今でも忘れずに想い続ける"存在が、MoranのメンバーだったZillのこと。『林檎の花の匂いと記憶野に内在する存在。』は、SoanがZillへ向けての想いを託した楽曲。
何時訪れるともわからない再会の約束。でも、互いに分かつ道が、何時かふたたび一つに繋がる日が来ると信じているからこそ、凍える寒さの中にさえ、凛とした強さを持って想いの根を深く下ろすことが出来る。Soanの嘆く心を映し出す悲愴なSachiのヴォイオリンの音色。叫ぶような痛い音色が、胸を突き刺す。今にも壊れそうな歌声をはべらせながらも、想いに熱を注ぐ手鞠。落ちサビでは、僅かに光や熱も放ちながら手鞠がアカペラで嘆く心模様を歌いあげていた。その歌声に、命動を覚えていた。
痛みと情熱を刺すように流れるSachiのヴォイオリンの調べ。「小さな頃、当たり前に出来ていたことが、大人になるにつれ何時しか怖くなっていた。何も考えずに出来ていたことが今ではわからなくなって、右足から踏み出すのか、左足から踏み出すのか、そんなことさえ戸惑ってしまう。だから優しく背中を押す言葉が必要なんだろう。そんな存在が必要なんでしょう。大丈夫、君の後ろには僕がいるから、自由にお行きなさい。そして、希望の光の中をお行きなさい」
それまでの荘厳な世界へ、Soanプロジェクトwith手鞠は熱を帯びた光を一気に集めだした。そこへ輝きを降り注ぐように、Soanプロジェクトwith手鞠は力強い歌声と演奏を通し『そして君は希望の光の中に消えた』を歌いだした。静謐さの中で躍動を覚える魂。その先に光が射すから、人は一歩を踏み出せる。その一歩を踏み出す勇気を、背中を押す掌の温かさを、Soanプロジェクトwith手鞠は『そして君は希望の光の中に消えた』を通して触れた人たちの心へ染み込ませてゆく。何時しか舞台上には、白い光源がいくつも生まれていた。その一つ一つが、メンバーたちでもあるかのように…。
時にボディも叩きながら、スタッカートする情熱的なタイゾのギターの音が響きだす。スパニッシュな音色が気持ちに熱を注ぎ込む。そして、何時しか誰しもを踊り子に変えてゆく。
流れだしたのが、秘めた情熱を、沸きだす気持ちのまま歌声や演奏を介して解き放った『感情を媒介として具象化する感傷の逝く宛』。タイゾと絡み合うように歌う手鞠。舞台上のメンバーたち一人一人が踊り子と化し、訪れた人たちを惑いの宴の中へと誘い込む。「誰かを憎んで 憎んでみたけれども 結局誰のせいにも出来ないでいるの」、秘めた心模様を告白するように、手鞠は熱情した演奏に乗せ、心の苦みを吐きだしてゆく。その背景では、大地の鼓動の如く躍動するSoanのドラムの音が、胸を騒がせる音を突きつけていた。上がり続ける感情的な熱。いつしか手鞠は、沸き立つ心の炎に身を焼かれながら、心をえぐるように叫びにも似た歌声を上げていた。
荒々しい祐弥のギターのストロークに合わせ、手鞠が身を焦がすように『正否の相違、或いは利害の不一致』を熱情した気持ちのままに歌いだす。とても熱量の高い演奏だ。心に渦巻く感情をすべて解き放そうと、身を揺らし、歌声を吐きだし続ける手鞠。静の象徴であるSoanプロジェクトwith手鞠とはいえ、胸の中に渦巻く熱情を表出させながら、彼らは、触れた人たちの心へ滾る熱をどんどん注ぎ込んでゆく。心が沸きだす。疼く感情に身体が震え立つ。
艶やかさと熱情を持って演奏が踊りだした。 沸き立つ気持ちを解き放ち、己を開放しなと誘いをかけるように、Soanプロジェクトwith手鞠は『吐情、舌上、熱帯夜』を奏でだす。己の中に秘めた様々な欲望をぶつけながら、今は素直に心も身体も解き放て。触れた人たちの心を開放する楽団と化したSoanプロジェクトwith手鞠が、乱れ狂うように熱した音を放ち、会場中の人たちを踊り子へと導き出す。
「今日と明日の公演でSoanプロジェクトは、また帰ってくることを前提に休憩します。本当に、ポジティブに活動してきたうえでの休憩なんです。高い山を登り切るうえで、ひとまず休憩をしましょうというだけの話なんです。だからSoan先生が、また「集合」と言ったら集まる。それまでの休憩です」
「この曲を書いたときに、メンバーそれぞれの歩んできた道や歩み続けている道を歌詞に込めました」。Soanプロジェクトwith手鞠が最後に届けたのが、『落下の挙動、加速、暗転、反射 そして調和する僕と君と。』。彼らが最後を飾る楽曲としてこの曲を選んだのは、手鞠が、歌詞の中へ参加メンバーにちなんだ歌詞をまぶしながら表現したことを受け、Soan自身が「今日という日がまた各メンバーの大切な軌跡になることを願って」という想いを反映してのこと。
熱を持って駆けだした演奏に合わせ、フロアから無数の拳が突き上がる。けっして激しく騒ぐわけではない。誰もがその場にたたずみながらも、心の中から沸きだす熱情に身を、想いを焦がしていた。触れた瞬間に火傷しそうな、青白い熱を放つ演奏だ。その美しさに触れたとたん心が燃え尽くされてしまうのなら、今は、ただただ素直に身を堕としていたい。
「ここがみなさんにとっての理想郷でありますように、それだけを願っています」と手鞠は言葉を投げてきた。彼らが描いた物語の中、ここにいた人たちはどんな理想郷の中へ足を踏み入れていたのだろうか。静謐さにたたずむ中から見えたそれぞれの理想郷に身を焦がしながら、Soanプロジェクトwith手鞠のライブは幕を閉じていった。
Soanプロジェクトwith芥
「さぁ、いこうか!!」、芥の声を合図に飛び出したのが『不確かな箱庭』だ。Soanプロジェクトwith芥が3年前に行った初ライブのときも、この歌から幕を開けた。この楽曲は、Soanが、これからソロプロジェクトを始めるに当たっての覚悟を歌詞に刻んだ歌。その歌を、休憩前の幕引きのライブの冒頭に持ってくるセンスが、らしいじゃない。
沸き立つ感情を叩きつけるように、演奏は激しい唸りをあげてゆく。朗々と歌声をはべらす芥、その後ろでは、激情するドラムビートを叩きながら煽るSoanがいた。とても雄大な楽曲だ。巨大な熱源となった『不確かな箱庭』へ触発され、早くもフロア中に大きく手の花が揺れ動けば、祈るように身体を折り畳む光景がそこには生まれていた。小さな箱庭の中に描き出した物語がどこまで大きく膨らむのか、その展開が楽しみだ。
何時もは終盤に演奏し熱狂を描き出す『躁狂の踊り子~山紫水明の宴~』を、今宵のSoanプロジェクトwith芥は序盤に据えてきた。芥の「踊れや踊れ!」の声に、Soanの「飛べ飛べ飛べ飛べ」の煽りに刺激を受けた観客たちが、手にしたタオルを振りまわし、轟音渦巻く宴の中へ身を投じてゆく。「踊れ」「歌え」「狂え」、その言葉に触発された観客たちが、理性の枷を外し、嬌声を上げながら右へ左へと走り出せば、その場で高く飛び跳ね続けていたように、序盤からフロアには凄まじい熱が生まれていた。
「まだまだいくぞ」と煽るSoan。いつものライブをさかのぼるように、今宵の演目は続いてゆく。流れだしたのが、『朽ち木の行方』だ。狂騒を描きだす音が、触れた人たちの理性を消し去り、熱狂の中で狂喜を上げる踊り子へ変えてゆく。ヒステリックでサイコな演奏や、神の化身と化した芥の唱える歌へ素直に心傾ければいい。大きく手を振り、熱の中へ溺れればいい。「吐きだせー!!」と煽る芥の声が、今宵は痛く胸に突き刺さる。
それまでの熱狂を深い闇の中へと飲み込むように、芥が語りだす。「この夜が解けないように。そっと…私を…」。慟哭にも似た芥の叫び声を合図に、楽曲は『透過幕』へ。重苦しい熱を放つ演奏が、触れた人たちの感情を掻きむしる。祈るように声を上げる芥、嘆く心の声を解き放つように歌うその姿は、闇の中で鈍い輝きを放っていた。何時しかその表情や演奏は、光を閉ざした漆黒の世界へと観客たちを導いてゆく。黒い闇に降り注ぐ黒い光もまた、心を塗り込む心地好い刺激になるとでも言うように。
躍動するSoanのドラム、芥の「濁った瞳が」の歌声を合図に、楽曲は『濁った瞳』へ。心の中に渦巻く頽廃した感情を、嘆く歌や叫ぶ声に乗せ、芥は吐き捨てるように声を張り上げる。祈りにも似た姿を通しサビ歌を唱える彼の姿は、神に身を捧げる神主のようにさえ見えていた。一心不乱に演奏へ身を投じるメンバーたち。その調べが、芥の歌声を介して解き放たれる。Shunのデスボイスしたシャウトが、その気持ちを後押ししてゆく。
鬱蒼とした蒼の世界を描くように。嘆いた心の滴を跳ねさせるが如く、Soanプロジェクトwith芥は『sign…』を届けてきた。胸をくすぐる美しくも切々とした音色や歌声に触発され、フロアに生まれた手の花咲き乱れる光景。芥自身も激情した気持ちを抑え、零れ落ちる痛い感情をすくい取ってはフロアへ染み渡らせていた。
「後半、派手にいこうか、」「イケるか、遊ぼうぜ」「腹から声出せ」、Soanらしい何時もの煽り声だ。その叫びとShunのストロークするギターの音を合図に、演奏は光を携え一気に駆けだした。芥は、朗々とした歌声をフロア中へ響かせながら『隔つ虚構紡ぐ真実と憧憬』を歌いだす。躍動する楽曲へ触発された観客たちは、何時しか掲げた右手をくるくるまわしながら舞台上のメンバーらへ想いを捧げていた。激しく身体を揺らす芥に合わせ、身体を折り畳む観客たち。雄々しい様で観客たちを懐の中へ包み込む芥の姿が、とても眩しく見えていた。
「まだやれるよな、もっといこうか」「さぁ、その拳を誰に捧げる」、Soanの煽りと芥の叫びを受けて飛び出したのが『meteo trive』だ。熱を放ちながら駆けだす演奏に理性や身体を射抜かれた観客たちは、荒れ叫ぶ歌声や演奏、Shunのスクリームへ導かれるまま身体を熱く揺らし、荒ぶる嬌声を上げていた。上がり続ける熱。先導者となった芥は、観客たちを熱狂の中へ溺れる跳ね人に変えていた。
荒れる様に沸きだす感情、もっともっと熱を求めて叫び狂いたい。そんな観客たちの気持ちを煽るように「二度とほどけない空間を作りましょう」と声をかける芥。その声を合図に、『arrive』が飛び出した。今宵、誕生日のSoanを讃えるように、HAPPY BIRTHDAY TO YOUとさりげなく歌を混ぜ込む遊び心も提示。「捧げてください」と芥は呼びかける。「求めれば求めるほど 失うのか怖くなる」。ならば、嫌というほど求めればいい。Soanプロジェクトwith芥が叩きつける演奏を心の金槌に変え、何もかも壊してしまえ。Soanプロジェクトwith芥の演奏に合わせ、ただただ身を焦がし飛び跳ねればいい。それが宴だ。それが、Soanプロジェクトwith芥の作り上げた熱狂の中に描き出した理想郷だ。
最後は、お馴染み『hysteria show time』だ。「飛べ飛べ飛べ飛べ」と叫ぶSoanと芥。理屈も理性もすべて消し去り、本性を剥き出した獣に心塗りかえた観客たちが、沸きだす気持ちのまま右手を高く振り翳し飛び跳ね続けていた。芥とShunの煽り声に触発され、熱狂の踊り人と化す観客たち。この空間を支配していたのは、熱だ。理性を燃やし尽くし、すべてを興奮に変えてゆく熱だ。それこそが、Soanプロジェクトwith芥の求める理想郷だと言うように。
本当は、ここで終わりの予定だったが、まだまだ熱を求めたい想いから、楽曲を追加。選んだのが『frowery count』。身体を痛く揺さぶる激烈ダンスロックナンバーへ触発され、会場中の人たちが思い切り飛び跳ね、理性を壊す楽曲に身を預け、騒ぎ狂っていた。どんどん熱を加えながら、メンバーも観客たちも、絶叫と熱狂の絡み合う宴の中で恍惚に浸っていた。
アンコールは、Soanプロジェクトwith手鞠とSoanプロジェクトwith芥が揃い踏みし、ステージへ。「3年という歩みの先に理想郷があったことを願いながら、この曲を送ります」。選んだのが、「刹那を駆ける」=「バンドの儚さやライブの有限さ」や「伝えたい1行の言葉の重さ」を歌詞に投影した、Soanプロジェクトwith芥によるバラードの『刹那を駆ける命の一行に』。芥と手鞠が互いに歌声を交わしながら、サビに向ってジワジワと熱を上げてゆく。サビで芥と手鞠が互いに歌声を交わし、声を重ねあったとき、そこには心を歓喜の光で包みこむ理想郷が生まれていた。Soanプロジェクトwith手鞠の演奏陣が加わることで、『刹那を駆ける命の一行に』がより情緒と深みを増してゆく。その歌に触れている間、芥と手鞠が両隣に寄り添い、両手を握りながら一緒に眩しい光の中を歩き続けてゆく感覚を覚えていた。とても心を無垢に変える演奏だ。僕らが求めていたのは、有限なものを慈しみ、共に心の肌を合わせたときに生まれる幸せだったのかも知れない。この歌に触れている間、誰もが心地好く身体を揺らし、舞台上に眩しくも愛しい視線を送り続けていた。
「これが、目指していた理想郷ですよね」の言葉。ここで、Soanの誕生日を祝おうと、客席の後方から紫陽花の花とケーキが登場。それらを観客たちがリレーしながらステージへ運ぶという粋な演出を行っていた。
最後にSoanプロジェクトwith手鞠/Soanプロジェクトwith芥は、「それぞれが、この先に待っている理想郷へ辿り着くためのへの希望や想いを込め」、『紫陽花がまた咲く頃に』を届けてくれた。互いが交わることへの喜びを祝すように生まれたこの歌が、今宵は、ふたたびこの地で出会うための約束を交わす歌として。そして、Soanプロジェクトが求め続けてきた理想郷の中へ咲いた至福に満ちた景色を映し出す象徴として。何より、メンバーらと観客たちが心に結ばれ、これからも共に歩み続けることを誓いあう宣誓として、『紫陽花がまた咲く頃に』が未来へ旅立つ祝福の鐘を鳴らしていた。「また、この花が咲くころにお会い出来たらいいですね」とメンバーたちは口にしていた。次の再会が何時なのかは、今はまだ分からない。でも、この景色が色褪せない限りは、また理想郷を描く物語の続きを彼らは描いてゆくはずだ。Soanプロジェクトは歩みを止めるのではなく、あくまでも休憩を取るだけなのだから。
PHOTO:遠藤真樹
TEXT:長澤智典
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Soanプロジェクトwith手鞠
『夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処』
『相対する質量の交錯する熱量』
『黄昏色に融解する視界と屈折した類推(アナロジー)』
『林檎の花の匂いと記憶野に内在する存在。』
『そして君は希望の光の中に消えた』
『感情を媒介として具象化する感傷の逝く宛』
『正否の相違、或いは利害の不一致』
『吐情、舌上、熱帯夜』
『落下の挙動、加速、暗転、反射 そして調和する僕と君と。』
Soanプロジェクトwith芥
『不確かな箱庭』
『躁狂の踊り子~山紫水明の宴~』
『朽ち木の行方』
『透過幕』
『濁った瞳』
『sign…』
『隔つ虚構紡ぐ真実と憧憬』
『meteo trive』
『arrive』
『hysteria show time』
『frowery count』
-ENCORE-
『刹那を駆ける命の一行に』
『紫陽花がまた咲く頃に』