「男性俳優を主体とした舞台演劇起点の新世代クロスメディアプロジェクト「ゲキ×メン」シリーズ第一弾作品」として、このたび音楽バトル劇「絶響 MUSICA THE STAGE」の上演が始まった。公演は、7月13日(月)・昼の部まで連日続く。
いわゆる、ライブも交えた2.5次元舞台劇だ。キャストも、Popteen専属モデルの黒田昊夢を筆頭に、「仮面ライダーゼロワン」新屋敷達巳役を演じた一色湊、「あんさんぶるスターズ!オン・ステージ」神崎颯馬役の樋口裕太、「仮面ライダーアマゾンズ シーズン2」千翼役の前嶋曜など、気になる若手俳優陣が多数登場。VOICE CASTにも、江口拓也、小野賢章、斉藤壮馬、諏訪部順一、谷山紀章、花江夏樹、森久保祥太郎と錚々たるメンバーが顔を並べれば、ダンサーとして室井一馬(甘党男子)と結城駿(BSB Works)が出演しているのにも注目したい。
制作面でも、「うたの☆プリンスさまっ♪」TVシリーズや「Dance with Devils」などを手掛けた金春智子がシリーズ構成・脚本を担当。「B-PROJECT~鼓動*アンビシャス~」や「プリキュアシリーズ」キャラクタービジュアルなどを多数描いてきた川村敏江をビジュアルデザインに迎えれば、「メル・リルルの花火」「ビョードロ」(劇団おぼんろ主宰)や「イムリ」(脚本・演出)などを手掛け演劇界の異端児とも評される新進気鋭アーティストの末原拓馬が演出を担うように、期待の高い演出陣が顔を揃えている。
物語は、音楽が人生のすべてという内海ヒビキ(黒田昊夢)が、メジャーからの話を受けた矢先に突然声が出なくなるところから始まる。ヒビキの幼なじみであり、彼の音楽の才能へ惚れ込み、音楽家として生きることを夢見るヒビキを側で支える室月ミキ(林勇輝)との友情を中心に、話は進んでゆく。
その後、物語は急展開。侵略者に星を支配され、精神体となったソノーと呼ばれる妖精のような少年らが、ヒビキを含む音楽の才能に秀でた6人の高校生音楽家たちの楽器と融合。ソノーが彼らの楽器に魂を宿し、6人の少年らと心をシンクロさせた理由や、ソノーたちが「青き水の星」(地球)にやってきた背景。ソノーらによって同じ仲間になるために導かれた少年たちどうしの関係性から、ソノーらを惑星へ連れ戻そうとする侵略者たちと少年らとの「音楽を通した戦い」などが次々と描き出されてゆく。
この舞台劇には、注目したい「心の見どころ」がいくつもある。たとえば、「戦いを通して育まれる少年たちの友情」であり「音楽が好きゆえに、それぞれが背負う悩みや葛藤」だ。
それぞれに異なる背景を背負った少年たちが、一つの目的のため心を一つにしたとき、バンドが生み出すのと同じように、その音楽には人の心を揺さぶる力が生まれれば、物語では、それが相手を倒すパワーにもなる。
ヒビキの声が出なくなった理由や、雨乃トウヤ(前嶋曜)が胸に抱えている「好きだったはずの音楽が」という葛藤など、誰もが音楽が好きなはずなのに、それぞれが「好きが故」の心の苦悩を抱えている。それが、戦いを通してどう変化してゆくかにも注目していただきたい。
登場人物たちそれぞれが、いろんな「心の戦い」を背負いながら、「不思議な運命」に翻弄されてゆく。それは、侵略者側にも言えること。「なぜ、戦うのか」という理由は、もちろん。「アンサンブルによって生み出される音楽」を題材にしているからこそ、この物語でも「人と人との心のアンサンブル」が、結果的に「人の心を揺さぶるドラマ」を作りあげていく。
「絶響 MUSICA THE STAGE」は、演劇パートが終わったあとに、物語を紐解くように、出演者たちによるライブパートが始まる。ここでは、ソロからグループまでいろんな組み合わせで、多彩な表情を持った歌たちを楽しめる。ライブでは、「なぜこのキャストがこの歌を、この曲調で歌うのか」や、物語の伏線を示すように構成された「歌の流れ」にも注目して欲しい。もちろん、観る際には、お気に入りのメンバーのサイリウムを振って楽しんでいただくことをお勧めしたい(劇場で購入可能)。
音楽は、人の心を揺さぶる魅力や力を携えている。それを「心を豊かにする力」にするのか、「心を支配(洗脳)する力」にするのか。「絶響 MUSICA THE STAGE」は、音楽を題材にした勧善懲悪劇を通し、「友情・正義・夢」という三密ならぬ「人の心に欠かせない三必」を伝えてゆく。もちろん、「キャストを応援したい」という気持ちで構わない。そのうえで、物語の奥に隠された想いまで汲み取って楽しんでいただけたら幸いだ。
今回は「生配信」でも届けているので、全国各地何処にいても観ることが可能。あなたもぜひ、この舞台を彩るキャストの一人になって欲しい。それを示すセリフも、途中飛び出すので…。
TEXT:長澤智典