1stアルバム「ヒトリランド」をCD/配信発売。赤羽ReNY alphaを舞台に行なった単独公演より始動したハイダンシークドロシー。谷琢磨・元犬神サアカス團の情次2号とジン、元Kraの靖乃という説明はいらないくらい、7月17日に活動を表明して以降、彼らの存在は早くもシーンに浸透している。
現在、ハイダンシークドロシーは配信を軸に据えた主催2マン公演を毎月行なっている。これまでに、ADAPTER。/天照と実施。12月22日にはTHE BEETHOVEN、1月13日にはRicky、2月14日にはheidi.との主催2マン公演が控えている。
同公演に先駆け、ハイダンシークドロシーが12月1日(火)に配信シングル「エルドラド」をリリースした。1stアルバム「ヒトリランド」を発売したのが9月20日だったことを考えれば、間髪入れずに新曲を届ける形になる。
これまでに発売した2枚のデジタルシングル「メーズ」「ページェント」、アルバム「ヒトリランド」すべてのジャケットに少女の姿が描かれてきたように、ハイダンシークドロシーが歌ってきたのは、「大人になりきれずに自分の心の中で浪漫と戯れる、闇を抱いた一人の少女の心の物語」。それは、谷琢磨自身??そこは、みなさんの想像にお任せしよう。
今回のジャケットにはメリーゴーランドのオルゴール姿が映し出されていて、お馴染みの少女は登場していない。ここから、新しい物語??と思った方もいるだろうか。そこは、ご安心あれ。「エルドラド」も、C/Wに収録した「オモイデオルゴール」も、物語の主役は闇/病みを抱えた少女(「エルドラド」に関して正確に伝えるなら、少女の魂を宿した人形が主人公)。でも、なぜメリーゴーランドを映し出していたのか。なぜタイトルが「エルドラド」なのか…。その謎を、4人のインタヴューを通して紐解きたい。
4人とも「新人バンド」らしさを楽しんでいます。
――最近では、精力的にライブ活動も始めていますよね。
情次2号 すごいやっている感があるなと思っていたんですけど。意外と、まだ数本程度しかやってないんだよね。
靖乃 3人(靖乃・情次2号・ジン)は、以前のバンドで毎月数多くライブをやっていたから、今の情勢もあるとはいえ、あの頃と比べたら、確かにライブの数は少ないよね。
――ライブ活動を始めたことで、バンドの見え方にも変化が生まれているのでしょうか?
靖乃 変わってきましたね。いまだ人数制限があって数が多くないとはいえ、お客さんを前にしたライブもやり出したことで、メンバー間の発言にも「人を前にしたライブだからこその空気から生まれる思いや意見」が出ているように、そこはライブ本数を重ねたからこそだなとは思っています。
情次2号 有観客といっても、まだ声は出せないし、騒げない環境だからね。
靖乃 あと、ステージ前に透明なカーテンがあるんで (笑)。
谷琢磨 あれは、演る側にもかなり影響を与えますからね。
ジン 単純に音が跳ね返ってくるから、以前とはぜんぜん中ステージ上の音の環境が違ってる。
情次2号 このバンドに関しては、通常(以前と同じ環境で)のライブをやったことがないから、いまだ「通常のライブって何だっけ??」状態だからね(笑)。
靖乃 コロナ禍で生まれたバンドってみんな、こんな感じなんだろうね。
谷琢磨 ハイダンシークドロシーは現代っ子バンドってことですよ(笑)。
――ハイダンシークドロシーは最初から特殊な環境で始まっているんですもんね。
靖乃 最初から今の環境が目の前にあった中でのスタートだったから、変に過去と照らし合わせる必要性がなかったぶん、むしろ、僕らに関しては進めやすい環境ですね。
情次2号 そうだね。0から始まっているように、「前はこうだったけど」と比較する必要がない。逆に経験がないぶん、進め方が難しい面もあるけど…。
ジン でも、何事も「新しいことを1から作っていけば良い」「新しい常識を作っては積み重ねていけばいい」ように、そこは良いことだなと受け止めています。
靖乃 本番も何本か重ねてきたことで、ステージ上でのアイコンタクトも取りやすくなったりなど、「これで良い」という答え合わせもどんどん出来ているように、4人とも「新人バンド」らしさを楽しんでいますから。
一人一人プロとして自信を持った商品を納品してくるから、どれも活かしたくなるんですよ。
――12月1日に、「エルドラド/オモイデオルゴール」を配信リリースしました。この2曲は、アルバム「ヒトリランド」以降に制作したのでしょうか?
ジン 「オモイデオルゴール」は、初ライブとなった赤羽ReNY alphaでも新曲として演奏していたように、アルバム「ヒトリランド」を制作していた頃からあった曲でした。「エルドラド」は、完全にアルバム制作以降に生まれた曲でしたね。
――「エルドラド」を手掛けたのが、谷さんになります。
靖乃 このバンドにとっても、お客さんにとっても新しい切り口を谷くんが持ってきましたからね。実際に楽曲を聞いたときには、「なるほど」と思ったしね。
情次2号 この曲、歌い手じゃないと作れないですよ。もし自分があの歌メロで曲を提示したら、「この歌メロを歌えって、お前は鬼か?!」「こんな難しい歌メロ歌えるか!!」と歌い手が匙を投げてると思いますけど。歌う本人がそれを持ってきたように、そこは流石だなと思います。
谷琢磨 自分が歌うとなったら、自然とああいう歌を求めちゃうんですよね。しかも新しい曲を歌うなら、新しい課題にもトライしたいとも思ってしまいます。今回は、苦手としていた4度や5度の跳躍の上がり下りを素早いメロディーに当てはめて歌ってみました。この曲を形にしたということは、ライブでも歌い続けてゆくということ。そういう経験の場を通すことで、何時しか課題が普通になっていきますからね。
靖乃 みずからをあえて逆境へ追い込み、そこでのダメージから戻って強くなる。それって、まるでスーパーサイヤ人だね(笑)。
谷琢磨 どうせ練習しなきゃいけないのなら、つねに課題があったほうが楽しく練習できるかなと思って。
ジン そこが凄いよね。俺なんか、思いついた中、一番簡単なことを選んでしまうのに(笑)。
谷琢磨 過去にも課題を掲げて歌入れしたことで、結果、それが自分の引き出しにしていけた経験があるように、今回もそうしようかなと思って。
――「エルドラド」は三拍子の楽曲です。その雰囲気が、曲の持つ世界観にピッタリだなと感じました。
谷琢磨 「エルドラド」のモチーフになったのが、としまえんにあった「カールセルエルドラド」というメリーゴーランドなんです。谷にとって想い出深いメリーゴーランドだからこそ、今回をきっかけに曲として残したいなと思って。それに、メリーゴーランドを題材にするなら、三拍子が一番しっくりくるなと思ったので、そこを入り口に作り始めました。
――あの手の曲調は、ハイダンシークドロシーに凄く似合うよね。これまでのハイダンシークドロシーらしさの中へ、新しい色を注ぎ込んだ印象も与えてくれますし。
谷琢磨 そこは、アレンジをしてくださった情次2号さんの力があってだと思います。谷が求めたバンドらしさをガーンと出してくださいましたし。
情次2号 ただ、歌声の重ね方や歌い方などは谷くんにお任せした形だけどね。自分から欲しいと思ったコーラスは要求しますけど、基本は歌い手にお任せしています。アレンジのときも「コーラスの抜き差しはお任せします」ということでしたけど、結果的にどれも削れない良さがあったから全部活かしてるけどね。あっ、冒頭のAメロのオクターブ下だけは、主メロを綺麗に出したかったから切ったけど、それくらいでしたね。
靖乃 このバンド、各々独立した個人事業主が集まり、一つの目的に向かって進んでゆくスタイルを取っているんですね。つまり、一人一人プロとして自信を持った商品を納品してくるから、どれも活かしたくなるんですよ。
――「エルドラド」を作るうえでポイントに置いたことも教えてください。
谷琢磨 「エルドラド」のテーマに据えたのが、まわり続けること。だから、AメロBメロとサビとすべてが繋がりを持ったような切れ目なく続く歌メロにしています。あえて歌もサウンドもシームレスな感じにすることで、永遠に周り続けている雰囲気を曲の中に作りあげました。
綺麗なものは汚したくなるんでしょうね(笑)。
――谷さん、ぜひメリーゴーランドにまつわる想い出話も聴かせてください。
谷琢磨 自分が幼少の頃に親と一緒によく乗っていたのが、としまえんにあったメリーゴーランドの「カルーセルエルドラド」。自分が親になり、今度は子供と一緒に乗り続けてきたように、遊園地が閉園したのと同時に止まったこのメリーゴーランドには、長い時間を経過した中でのたくさんの想い出が今も記憶の中で周り続けています。自分の中では魂の塊のような存在。だからこそ、楽曲として残したいと思っていたタイミングで今回の新曲制作が重なったことから、中へファンタジックなモチーフも散りばめ、作詩はもちろん、7年ぶりに作曲も手掛け、想い出を刻みました。
「エルドラド」の主人公は、お人形さん。その人形は、タービンの心臓を持つ機械仕掛け。つまり、その心臓を入れ換えながら、壊れかけた世界で様々な想い出を巡らせ、ずっと生き続けてゆく。それを、何世代にも渡って想い出を回し続けてきたカルーセルエルドラドの姿にも重ねたことから、「エルドラド」というタイトルを付けています。
――そういう背景があったんですね。
谷琢磨 それと、情次2号さんには「バンドの演奏自体はガーッと激しめにお願いしたいんです。そのうえで歌は、ノスタルジックな雰囲気でフワーッとした感覚を活かしたい」とお願いをしました。結果、予想以上の楽曲に仕上がったなと思います。
情次2号 やはり、綺麗なものは汚したくなるんでしょうね(笑)。
谷琢磨 ここで、少しだけ歌詞の補足をさせてください。歌詞には、「眠れる薔薇の森」などの綺麗な表現と対比するように、「焦げたフィラメント」など汚れた雰囲気を想像させる歌詞をあちこちに散りばめています。
情次2号 見知らぬ言葉も多いよね。
谷琢磨 「キュイジーヌ」はフランス語で「新しい料理・食卓」。「ピアンジェレ」はイタリア語で「流れる涙」。「プロフモネロ」は造語で、「プロフーモ(香り)」と「ネロ(黒)」を重ね合わせ、「闇の香り」と表現。「ルモーレフェッロ」の「ルモーネ」は音楽用語で「騒がしい」。「フェッロ」は「鉄」という意味を持つことから「ルモーレフェッロ=金属のきしむうるさい音」という表現として使っています。
靖乃 各国の言葉から造語まで垣根なく取り込めるところが、このバンドの良さであり、何でも有りのヴィジュアル系バンドらしいスタイルですからね。
最終的にメリーゴーランドや物語を完成させるのかは、聞いてくださる方々に委ねたいと思います。
――完成した「エルドラド」と「オモイデオルゴール」。それぞれ、どんな作品になったのかも教えてください。まずは「エルドラド」からお願いします。
谷琢磨 先にも語りましたが、谷にとって想い出深い、としまえんのメリーゴーランド。あの存在を歌として残そうと思ったタイミングとハイダンシークドロシーの制作期間が重なったことから生まれたのが、「エルドラド」になります。この歌を表現するうえで一番似合う曲調ということから、三拍子の楽曲になりました。モチーフが周り続けるメリーゴーランドのように、楽曲も歌声もシームレス(継ぎ目なく)で周り続ける雰囲気を心がけました。
情次2号 バックの演奏は割と激しめに。でも、歌声はフワーッとしたスタルジックな雰囲気として聞こえながら、お互いが良い感じで主張してゆく。そこの絶妙なバランス感も「エルドラド」の魅力だなとも感じてる。
靖乃 これまでに作り上げた楽曲の中でもとくに音が暴れれば、歪んでもいる。そのうえで踊るように歌う谷琢磨が絵になっているのが、「エルドラド」。ドラム面でも、ハイダンシークドロシー曲史上かなり上位に来る、一撃の説得力の高い楽曲になっています。メリーゴーランドで例えるなら、じつは物凄い勢いで土台を回しながら、同時に、細かい部分の速度も巧みに調整。いわゆる外には見えない円盤の床下で、全体を蹴りあげるような勢いでメリーゴーランド全体を回しているのが、今回の俺の役割だなと思ってる。
ジン 僕も、ハイダンシークドロシー史上一番ベースの音がデカければ、直感を活かして弾いたように感覚を活かした演奏をしています。とはいえ、メリーゴーランドで例えるなら、何があろうと安定した環境を作り出してゆく、乗り物たちを乗せている床材的な役割です。
情次2号 その速度を制御しているのが、自分の役割。同時に、谷くんが「激しく汚して欲しい」と持ってきたピアノと歌で作り上げた美しい楽曲を、どう彩るかを担当。何処まで激しく歪ませてゆくかなど、そこのさじ加減をいろいろ工夫したように、自分はメリーゴーランドの木馬たちを活かすための全体の装飾と、リズム隊の暴れる速度の調整を担当しました。
靖乃 僕とジンさんだけだと、超高速回転しすぎて誰も乗れなくなるからこそね(笑)。
谷琢磨 谷が「エルドラド」で表現したかったのが、崩れてゆく世界に対して、ポツンと一人無力さを感じている主人公という姿。崩れゆく世界を激しい演奏で表現しながら、何も出来ずに崩れてゆく様を見ているしかない無力さを儚い歌で表現。メリーゴーランドで例えるなら、谷は木馬たちを支える柱の部分。最終的にどんなお馬さんを走らせるのかは、聞いた人次第かなと思います。
情次2号 その馬に角が生えているのか…とか。
ジン そもそもまわっているのが馬とは限らない。
谷琢磨 そこでどんな乗り物を思い描き、最終的にメリーゴーランドや物語を完成させるのかは聞いてくださる方々に委ねたいと思います。
――続いては、「オモイデオルゴール」ですね。
情次2号 「オモイデオルゴール」は、装飾満載な「エルドラド」とは間逆の、余計な仕掛けを施さずにシンプルにストレートに、2分くらいで一気に仕上げた楽曲だったね。
ジン 2分で仕上げた割に5分以上ある曲だけどね(笑)。この曲、AメロBメロとほとんどコード進行を変えずに進んでいく楽曲のよう、この曲も直感と勢いで一気に弾ききりました。
情次2号 もちろん、アコギを鳴らして雰囲気を出すなど、シンプルさの中にも彩り膨らませる要素も加味してるけどね。
靖乃 それでもシンプルだからこそ、あえてラスサビに仕掛けを施したりもしています。
谷琢磨 この曲にも、「ヒトリランド」に登場する闇/病みを抱えた少女らしい世界観を描いています。むしろ、今のところは全曲「少女」を物語のヒロインとして描き出しているように、そこにも注目しながら聞いてください。
合い言葉は「Shall We Rondo」
――ハイダンシークドロシーは今、配信という形を通し「2マンシリーズ」を定期的に開催中。次回は、12月12日に、THE BEETHOVENを迎えて行ないます。このシリーズも毎回楽しみなんです。
靖乃 ハイダンシークドロシーというバンドは、何曲か味わったうえで深い旨味を感じてもらえるバンド。2マンライブは、そこを見えやすい形で発揮してゆく場だからこそ、ぜひ観て欲しいですよね。
情次2号 それに、うちらはまだ始まったばかりのバンド。まずは観て、知っていただかないといけませんからね。しかも配信だから密も関係なければ、何処にいても観れる。
ジン まずは、どんなバンドかを配信ライブでつかんで欲しいですね。
靖乃 ヴィジュアル系のライブではお馴染み、「上手にモッシュ!!」の掛け声に合わせ、右へ左に駆け出しながら騒ぐ風景。でも、この楽曲に関してはそこじゃないよね。
情次2号 「エルドラド」では、フロアの中でモッシュするんじゃなく、みんなで舞踏してもらいたいよね。合い言葉は、"上手に回旋曲(ロンド)"で!!
谷琢磨 それ最高です!!!!
ジン みんながくるくるとフロアで踊ってるって、なんかいいよね。
情次2号 これをきっかけに、バンギャの方々が社交ダンスを習い始めたりとか。そこまでなれたら最高だね。
ジン ぜひ、合い言葉は「Shall We Rondo」で。
TEXT:長澤智典
★インフォメーション★
【ハイダンシークドロシー】3rd digital single「エルドラド / オモイデオルゴール」試聴ティザートレイラー
ハイダンシークドロシー
3rd digital single
「エルドラド / オモイデオルゴール」
エルドラドリリックビデオ short ver .
各種音楽サイト・ストリーミング配信
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デラックスエディションパック(約140MB)
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・オモイデオルゴール (高音質WAVデータ版)
・エルドラド off vocal ver (mp3データ)
・オモイデオルゴール off vocal ver (mp3データ)
・ジャケット(jpeg)×2Type
・歌詞カード(jpeg)
LIVE情報
12/12(土)高田馬場AREA※有観客
12/12(火)主催2マン「一一一」with THE BEETHOVEN※配信
(https://twitcasting.tv/ml_hamashobo/shopcart/27208)
1月13日(水)主催2マン「一一一一」with Ricky ※配信
1月29日(金)池袋EDGE ※有観客
2月14日(日)主催2マン「正」 with heidi. ※配信
ハイダンシークドロシー Web
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