ピコ、誕生日当日に、「バブーとこの世に生まれ」「オギャーと命の声をあげた」2部構成の生誕祭を開催。 歌い手ピコとしての誕生から現在までを網羅!!
ピコが、誕生日当日に当たる3月11日(金)に神田明神ホールを舞台に、「ピコバースデーワンマンライブ」を2部構成で行なった。昼公演を「babumi」と、夜公演を「ogyari」と命名。それぞれの公演に名付けたタイトルには、「バブーとこの世に生まれ」「オギャーと命の声をあげた」という、ピコらしい遊び心を持った、生まれたことへの喜びと感謝の想いが込められていた。用意されたセットリストも、たくさんの愛に包まれて生まれたことを示すように、「babumi」公演は「温かく優しい表情」を持った楽曲を中心に構成。激しく泣きだし、生きる強い意思を示した産声の様を投影した「ogyari」公演は、力強さや攻撃性など躍動した曲調を中心に形作っていた。2公演とも、歌い手ピコとしての誕生から現在に至るまでの流れの中、彼自身の歩みに於いて欠かせない曲たちを並べてきた。昼夜公演ともに披露したのが、最新曲の「ポルターガイスト」とライブ空間に熱狂を作りあげる「不退転パスファインダー」、同じく、ライブで一体感を描く晴れた曲調も魅力の「ヒュプノシス」の3曲のみ。あとは一切楽曲が重なることのない公演だったところも、ファンには嬉しいライブになっていた。
「babumi」「ogyari」両公演の特徴や見どころになっていたのが、「歌ってみた」から出てきたピコらしく、カバー曲もさりげなく加えていたところ。「babumi」公演では、優しさや温かい表情で想いを伝える姿勢を示すように、「First Love」(宇多田ヒカル)と「ドライフラワー」 (優里)をアコースティックスタイルで歌唱。ここでは、オリジナル曲よりも深みを持った、切なさを抱いた声を通して想いを伝えてきた。
「ogyari」公演では、「闇色アリス」や「モノクロアクト」「神っぽいな」など、動画サイトで話題の曲たちをカバー。ピコ自身の歩みを語るうえで、ニコ動などの動画サイト/「歌ってみた」は欠かせない存在であり、ピコが先陣を切ってこのシーンの魅力を世に知らしめたように、この世界で話題の曲たちの歌をカバーするのもピコにとっては大切なこと。それを「ogyari」公演で見せてくれたのも嬉しかった。
他にも、「babumi」公演では、中森明菜の「DESIRE」を当時の衣装風の服を身につけて熱唱。「ogyari」公演では、Acid Black Cherryの「Black Cherry」を大人の色気満載でカバー。艶かしく歌う姿に、大勢の女性ファンたちの視線が釘付けになれば、激しい表情を示したとたんに大きく身体を揺さぶり、ともに熱狂に溺れていたのも印象的だった。
「babumi」公演 の開けを飾ったのが、「お願いKISSで目を覚ましてほしいの」と甘くねだるように歌う「白い雪のプンンセスは」。想いを乞うようにピコに歌われ、胸をキュンとときめかす人たちも多かったように、ファンには嬉しい幕開けだった。その後ピコは、「ロキ」「ダーリンダンス」と一気にロックなモードへ気持ちや曲調をシフト。目覚めた赤ん坊が元気に鳴き声を上げるように力強く躍動する様を、3曲の流れを通して描いていった。
他にも、温かく開放的な姿を「RE-INFINITY」に示せば、「桜音」では和心抱いたたおやかな様に変化。高ぶるピコの気持ちを追いかけるように演奏した「フォニイ」と、1曲ごと巧みに表情を塗りかえてゆく流れも見せていた。
「babumi」公演は、温かい音楽性や明るく開放的な曲調を多めに並べていたように、アコギを軸に据えたスタイルで「シンドローム」を演奏した面も嬉しい見どころになれば、「ポルターガイスト」「不退転バイファインダー」とエナジーみなぎるロックでパワフルな楽曲を通しフロアを熱した後に「ピコピコ★ナイトギャラクシー」を歌い、この空間を気持ち跳ねる最高のパーティー空間に染めあげ、華やかに彩る様も見せていった。そこも、「babumi」公演らしい見どころだった。
同じく、アンコールの「ヒュプノシス」「MAKE OUR DAYS!!」を通して作りあげたアゲアゲなノリの中へ、ここから未来を切り開く(オギャーと声を上げて力強く生きる)メッセージを折り込み、「ogyari」公演へ繋げてゆく流れも、とても冴えていた。
「ogyari」公演は、ピコの叫び声も印象的、冒頭から力強く観客たちを煽るように歌った「村人A」からスタート。「babumi」公演ではお立ち台を使うことはなかったが、「ogyari」公演では左足を乗せ、身体を前のめりに挑む姿を見せていた。そこから、ピコが「ogyari」公演ヘかける気合と意気込みが伝わってきた。身体を深く折り曲げ、声を張り上げる姿も格好いい。
エレクトロなロックチューン「リバーシブル・キャンペーン」では、凛々しくもクールな面と熱情した様を巧みに投影。続く「テオ」でも、拳を振り上げ観客たちの気持ちに熱いエナジーを注入。序盤からピコは産声を上げ、生きる意思を熱情した姿で示していった。
「ogyari」公演では、勢いを持ちながらも、胸をキュッと刺激する歌謡メロも印象深い「闇色アリス」。哀愁的でメロウな面を見せる「モノクロアクト」など、心の内側に隠した本心をぶつけるように歌う楽曲も並べていた。「babumi」公演が光を求める姿を見せていたなら、「ogyari」公演には心の闇をしっかり見据えるピコの姿も投影していた。
闇の中で戯れることへ恍惚を覚える「乱獲パラレル」。得意のファルセットヴォイスを存分に活かしつつも、ねっとり絡みつく歌声を魅力に、歌い手としての表現の器の深さも示した「神っぽいな」など、激しい「ogyari」公演の中へ巧みに歌い手としての技量の深さを折り込んでいったのも嬉しいこと。
ダウナーな曲調の中へ、今にも壊れそうな悲哀を抱いた歌声をピコは重ねてきた。「ogyari」公演でもピコは、切なくも雅(和要素)な物語へ身を浸すのも自身の魅力だと伝えるように、和心抱いた面を「朧月」を通して見せていた。
想い揺れるままに絶唱。絶望へ身を浸すバラードの「Black Swan」など、中盤のブロックでは、1曲進むごと巧みに表情を塗りかえ、ピコが心の奥に抱えるいろんな心模様を、多様な音楽性を通して描き出していった。悲嘆に暮れながら「Black Swan」を熱唱するピコの歌声が、なんて心張り裂けそうな想いを見せていたことか…。ピコが封印していた「Black Swan」をこの日歌ったのは、数年前に病気していた自分の姿と重なり歌えなかったこの曲を、愛でたい日に歌うことで、気持ちに踏ん切りをつけようとしてのこと。その想いもMCでは語っていた。
「ogyari」公演の後半、ピコは、フロア中の人たちの拳を振り上げ跳ねさせた「人生リセットボタン」や「不退転パスファインダー」、ヘドバンの嵐を巻き起こした「ポルターガイスト」と、理性のストッパーを壊す激情ソング3連打を見せ、フロア中の人たちを沸かせていった。激しい中にも変化球を効かせ楽しいノリを描いた「babumi」公演とは異なり、「ogyari」公演は荒ぶる感情を真正面から互いにぶつけあい、フロア中の人たちと一緒に熱狂や熱情した空間を作り出していった。
アンコールでピコは手紙を読み出した。内容を要約するなら、19歳で歌い手を始めてから現在に至るまでに感じた厳しさ。歌うことが怖くなったときがあったこと。病気で歌えないかもという状況へ追い込まれたこと。でも、いつもみんなの応援の声で助けられ、今日も、これからも歌うことができれば、歌でみんなへ想いを返したいとも語っていた。
「babumi」公演「ogyari」公演ともに、「ヒュプノシス」を歌いだすところで、ピコの誕生日を祝うためにバースデーケーキが登場。「babumi」公演はサプライズとして本人は驚いていたが、「ogyari」公演はお約束の展開としてピコは楽しんでいた。
「ogyari」公演も、最後は「ヒュプノシス」で心を開放し、最後の最後に「拝啓ドッペルゲンガー」をぶち込み、ふたたび会場中を暴れ騒ぐ空間に熱く染めあげ、ここから輝く未来を切り開こうと突き進む意思を高らかに示していった。
この日で34歳になったピコ。本人は「アラフォーが見えてきた」と語っていたが、舞台の上で無邪気にはしゃぐ姿はまだまだ少年のよう。その無垢な想いのまま、これからも走り続けて欲しい。
PHOTO: アンザイミキ
TEXT:長澤智典
<公演概要>
アーティスト:ピコ
タイトル:
【昼公演】ピコバースデーワンマンライブ-babumi-
【夜公演】ピコバースデーワンマンライブ-ogyari-
公演日:2022/3/11(金)
会場名:神田明神ホール
<セットリスト>
「ピコバースデーワンマンライブ-babumi-」
【昼公演】
「白い雪のプリンセスは」
「ロキ」
「ダーリンダンス」
【MC】
「RE-TRINITY」
「桜音」
「フォニィ」
【MC】
「First Love」 (アコースティック)
「ドライフラワー」 (アコースティック)
「シンドローム」
【MC】
「ポルターガイスト」
「不退転パスファインダー」
「ピコピコ★ナイトオブギャラクシー」
-ENCORE-
「DESIRE」
【MC】
「ヒュプノシス」
「MAKE OUR DAYS!!」
ピコバースデーワンマンライブ-ogyari-」 【夜公演】
「村人A」
「リバーシブル・キャンペーン」
「テオ」
【MC】
「闇色アリス」
「モノクロアクト」
「乱獲パラレル」
「神っぽいな」
「朧月」
「Black Swan」
【MC】
「人生リセットボタン」
「不退転パスファインダー」
「ポルターガイスト」
-ENCORE-
「Black Cherry」
「ヒュプノシス」
「拝啓ドッペルゲンガー」