「#1 "ANNIVERSARY"」「#2 "NIX"」「#3 "SYMBIOSIS"」と3回に渡る全国ツアー「ANS」を約9か月に渡り続けてきたXANVALA。同ツアーのGRAND FINALとなる公演を、8月31日(木)に恵比寿LIQUIDROOMで行った。場内には、後ろまでぎっしりとファンが詰めかけ、彼らの蒔いた種は、3回のツアーを通してしっかりと芽吹き、咲かせたいと願っていた場所で、満開の花を咲かせることへ繋がった。
SEが鳴り出すのに合わせ、フロア中から起きたクラップ。メンバーらの登場に合わせ、その音はさらに激しさを増す。そこへ、音を掻き鳴らすメンバーらの演奏が思いを重ね合うように響きだした。
「もうガタガタガタガタ五月蠅えな」と叫ぶ巽の声を合図に、XANVALAのライブは『誰が為の幸福論』から幕を開けた。5人は体中から沸き立つ熱を、全身を奮い立てるように歌や音にぶつける。彼らに向け、フロア中の人たちが一瞬で理性を吹き飛ばし、髪の毛を振り乱し、高ぶる感情を舞台の上に投げつける。XANVALAは、「ガタガタガタガタ五月蠅えな」と苛立つ気持ちを吐き捨てながら、観客たちの心を縛っていた苛立つ現実の鎖を引きちぎり、広大な空間へ一気に解き放った。
嬉しいね、いつも通りだ。続く『デスパレート』を通し、XANVALAは、さらに気持ちを裸に、感情と感情をぶつけあうガチンコな戦いを繰り広げていた。遠慮なんて言葉は全部綺麗に消し去り、互いに声を張り上げ、身体を激しく折り畳み、気持ちの高ぶるままに暴れ騒げばいい。この場に必要なのは、剥きだした感情のみ。あとは、己の身体が求めるままに飛び跳ね、声を張り上げればいい。場内を震撼させるくらいに熱い観客たちの雄叫びが胸を奮い立てる。
巽の絶叫を合図に『MY BLACK』が解き放たれたとたん、観客たちも一斉に身体を揺さぶり、高く高く右手を掲げて騒ぎだす。最凶かつ最強にノイジックなラウド曲が巻き起こす音の強風に煽られ、観客たちの乱れ髪が、いつも以上にフロア中で激しく揺れる。もっともっと、もっともっと狂わせてくれ。
「お前に嫌いなやつはいるか」の声を合図に、重厚な音の弾丸をマシンガンのように次々と撃ちつける演奏陣。フロア中の人たちも、掠れるほどの声を張り上げ、その場で高く高く飛び跳ねながら、『ratchet』を通して日頃の鬱憤をすべてぶち蒔けていた。何百人もの獣たちが一斉に飛び跳ねる景色は圧巻だ。
「突き落としてやるよ」の言葉を合図に、XANVALAは『落ちていく魔法』を通してヒステリカルな魔法をかけだした。XANVALAのかける魔法は、理性や妥協なんて言葉をすべて消してゆく。彼らのかける魔法に操られた観客たちが、巽の歌声のタクトへ導かれるままに、フロアを左に右へと横モッシュすれば、身体を深く折り畳み、大きく手を揺らしだす。会場中の人たちが、演奏陣の音とシンクロするように同じ動きをしながら暴れ狂う。この一体感、ずっと覚めないでいたい。XANVALAは、熱狂という名の魔法を解くことなく、ヘヴィグルーヴな『joke』でも観客たちの両足を床から解き放ち、艶かしくも狂おしい歌の虜にしてゆく。
歪むギターの音が、頭の中の壁を思いきり叩きつけた。フロア中の人たちが『明日、虫になっても』に合わせ、一心不乱にヘドバンし続ける。開放的な音の飛び交う演奏パートでは手を高く上げて飛び跳ねるなど、曲の表情に合わせて巧みに荒ぶる感情の色を塗り替え、XANVALAは熱情したくなる衝撃を終始突きつけていった。
巽の絶叫を合図に飛び出したのが、『ジャノメ』だ。荒れ狂う歌と演奏は、ハンパな気持ちでこの場にいるんじゃねぇ、もっともっと感情を剥きだしてぶつかりあえと煽る声にも聴こえていた。言葉の一言一言に熱情した思いを塗りたくり、巽が、メンバーらが、激烈した感情と言葉を音の暴風雨に変えてフロア中へ降り注ぐ。何百人という観客たちが一斉にざんばらと髪の毛を振り乱す景色は、まるで迷宮へと引きずり込む、奈落で蠢く怪物たちのようにも見えていた。
そのまま観客たちを奈落へ落とすように,XANVALAは『冥冥』を奏で、呪詛のような歌声とメルトしてゆく音たちを通し、観客たちを迷宮の世界へグイグイと引きずり込む。脳が蕩けてゆくような不思議な高揚感が心地よい。緩んだ笑みを浮かべ、ゆらりゆらりどころか、勢いよく頭を振り乱し続けていたい。重厚な音に合わせ、もっともっと落ちてしまいたい。
悲しき不協和音が鳴り響く。XANVALAは『クチナシ』を歌いながら嘆くように。いや、乱れ彷徨う悲嘆な感情の傷へ歌声や演奏という媚薬を塗り付けながら、心を解き放とうとしていた。巽の乱れ狂う感情へ、宗馬の狂おしいギターの旋律が優しく寄り添う。いつしかXANVALAのライブは、体感的な衝撃を抱きながらも、感情の内側へ内側へと視線が向けられていた。
少しだけ甘い春風を覚えながら、巽が乱れ騒ぐ感情を抑揚したエモいメロディーに乗せて歌いあげる。『春が刺さる』でXANVALAは、乱れ、もがく巽の感情を、エモい演奏の風を通して揺さぶっていた。フロア中の人たちも、このときばかりは身体を揺らしながらも舞台の上に視線を向け、その様を見つめていた。
『終幕』でもXANVALAは、心乱れ騒ぐままに歌う巽の感情へ寄り添うように、悲劇のファンファーレを鳴らすような音を塗り重ねていた。その様に心揺さぶられた満員の観客たちも、ときに両手を咲かせつつ、ふたたび乱れ騒ぐ気持ちをONにし、熱狂というアクセルを吹かしだす。そして…。
「俺たちにとって今までで一番デカい挑戦。こんないい景色になるなんて」「俺たちのヴィジュアル系を示してやる」「誰よりも死に物狂で、誰よりも優雅に歩いてみせろ」と叫ぶ巽の言葉を受け、『リード・アクトレス』へ。曲が始まるのを合図に、フロア中の人たちが横モッシュに興じれば、サビ歌では身体をくるくる回転しながら、誰もが恍惚に溺れていた。間奏中、フロアを染め上げた巨大な横モッシュの様は、本当に気持ちをゾクゾクさせた。
間髪入れずに『キネマ』へ。巽の歌声を旗頭に、フロア中の人たちが広げた扇子を可憐に舞い踊らせ、この空間にきらびやかな宴の様を描き出す。フロア中で綺麗に舞う揺れる扇子の景色が、とても華やかだ。その様は、たくさんの花魁たちが喧騒に酔う宴のようにも見えていた。
「俺が死ぬときに思い出す景色はもっと先にあるはずだと信じて進み続けます。俺は、早いうちに死のうと思っていました。ても、このバンドを始めて、自分が大好きなものを背負って、いつの間にか生きて愛されたいと思う欲張りな人間になりました。俺にとって息をするのは、このバンドのためです」(巽)
先の言葉の意味を音や歌に乗せて語るにように、次にXANVALAが突きつけたのが、この日、会場で無料配布したCDに収録していた『ANS』。これはすべての答えではない。でも、彼らがこのツアーで見つけた、XANVALAとして生きる理由を示す最新の答えだ。人は、環境や状況に合わせて変わり続ける。感情を持った人間なんだもの、それでいい。だからこそ、今の彼らが突きつけた「あなたと生きてる」理由を、しっかりと前向きに受け止めていたい。
先の答えを改めて示すように、 XANVALAは「私は、此処にいる」と、気持ちを前へ前へと煽り立てるように凛々しい姿で『アーティスト』を歌い奏でていた。眩しいその姿をつかもうとフロア中の人たちが飛び跳ね、笑顔ではしゃぐ姿も、同じように眩しく見えていた。
なぜ、自分たちはここに立って轟音を鳴らし、声を張り上げているのか。それは、応援してくれる仲間たちと一緒に描いた夢をリアルにしてゆくため。そのリアルな景色を、一緒に歓喜に変えたいから。彼らは『ΛLIVE』に乗せ、「届いてくれ」と歌っていた。Λ(ラムダ)はファンたちの呼称。タイトルの綴りがAではなくΛなのも、それが理由だ。俺らは、愛すべきこいつらと一緒に、描いた夢や叶えたい願いをすべて現実に変えてやる。そう宣言をするように、巽は「君をつれていこう」と歌っていた。「どうか、一緒に生きていこう」の声も嬉しく胸に響いていた。
「一人一人に答えがある。でも一つだけ変わらないものがある。俺たちとお前らが手を上げることで生まれる場、ここが俺たちの理想郷だ」。本編最後にXANVALAが突きつけたのが、彼らの存在を世の中へ強く示した『XANADU』だ。XANVALAが求めた理想郷は、ライブという回数を重ねるごと、着実に形を成してきた。でも、理想とする答えはずっと先にある。きっと完成することはない。でも、完成を求め、こうやって積み重ねてきた熱狂と絶叫、ほとばしる汗と興奮と笑顔は、間違いなくこの場に集った一人一人の心の中に輝く理想郷を作りあげていた。その理想郷をもっともっと輝く場に染めたくて、こうやって多くの人たちがここに集っている。この日も満員の観客たちが、この場に生まれた理想郷でたくさんの幸せをチャージしていた。
アンコール前に、メンバーらがこの日の感想を述べだした。
「「ANS」TOURを42本回ってきた中、5人たけではこのライブは作れないんだと実感しています。お客さんが目の前にいるのが当たり前じゃないことを実感しています。でも、今日が一番格好いいXANVALAなので」(知哉)
「まずはΛがこんなにもいるんだと再確認できたのがめっちゃ嬉しい。ここにいる全員、これからも一緒に進む仲間だと思ってます。何も怖くない。XANVALAはすべて上手くいっているバンドではないです。負けることもあるし、失敗することもある。でも、無理って思わないで諦めずに進んできたから、こんなにも仲間が増えました。全員味方です。」(宗馬)
「メンバー、関係者、Λ(ラムダ)のみんなが支えてくれたおかけでどんな苦難も乗り越えることができました。本当にありがとうございます。」(Yuhma)
「こんな広い場所にみんなが集まってくれて本当に嬉しいです。今の景色を想像出来ない時期もあって、それを乗り越えてこれたのは、みんなのおかげです。3本のツアー42本のライブをやってここに立っています。それを乗り越えられたのもみんなのおかけです。音楽って、ライブハウスって、自分の生きざまや証を見てもらえる場だと思っています。この生きざまを命をかけて届けていくので、みんなも生きざまを見せてください。次は4桁のキャパシティに挑戦します。ここからは選ばれたバンドだけが挑む領域だと思います。これからも俺たちの生きざまを見続けていてください」(70.)
「バンド続けていて良かったし、このツアーをやって良かったなと思っています。こんな最高の景色を見れるならXANVALAをやるでしょ。どんな道のりでも最高の景色を必ず約束しますし、最強のバンドにしてみせます。届かなかったいつかの自分の大事な夢も背負って、あなたの夢も背負って、最高のバンドを作っていきます。これらも一緒に歩いていこう」(巽)
アンコールの最初を飾ったのが、XANVALAの始まりを告げた『鮮やかな猛毒』だ。5人がXANVALAを始めたときに夢や理想として描いた景色が、今、鮮やかな現実になって目の前に広がっている。彼らが3年半以上の歳月を重ねたうえで描き出した景色は、どんな色鮮やかな絵よりも輝いていた。それも当然だ。絵を最高に輝かせる、こんなにもたくさんのカラフルな絵の具(観客)たちが、5本の絵筆と一緒にカンバス(理想郷)を染め上げているのだから。
ここからは、-徹底して煽り立てる宴の場へ。『Bamby』に合わせて、フロア中に広がるざんばらと髪振り乱れる景色。誰もが熱狂の踊り子と化し、これでもかと全力で暴れ、祭り上がる。これぞヴィジュアル系というシーンにXANVALAが示した、新たな文明開化の始まりの景色だ。
「俺たちのための時代が待っている」の声を合図に飛び出した『文明開花』でも、メンバーらの攻撃的な演奏をさらに追い風に変えるように、フロアのあちこちで扇子が舞い踊れば、全力で暴れ狂う景色が目の前を埋めつくしていた。ここには、確かに革命の音が鳴り響いていた。
巽の歌声が、感情のストッパーを粉々に破壊する合図だった。『左耳の悪魔』の演奏に合わせ,、左や右へと民族大移動の景色が広がる。大きな海の中から沸騰したあぶくが沸き立つような乱れ狂う頭の景色。間奏で魅せた、宗馬の挑発するギターの音色も気持ちを暑く騒がせる。胸の奥で嘲る悪魔のような声が、もっともっと現実を壊しなよと笑っていた。
まさに戦いだ。XANVALAが『聖戰』を叩きつけるたび、この空間には熱情した感情と感情をぶつけあうすさまじい光景が広がる。熱情なんてものじゃない。互いが、本気ですべての感情を剥き出し、この空間を通して殴りあう。その拳に痛みを覚えるたび魂が燃え立つように、この場には、15ラウンド目の王者たちの激闘のようなアグレッシブな景色が生まれていた。
「俺たちの夢にはあなたの声が絶対に必要です」。「その声か鼓動を鳴らし~」と巽と観客たちが一緒に歌いだす。XANVALAは最後に『NIX』を演奏。互いに感情の殴りあいを続けながらも、気持ち晴れ渡る歓喜の思いも覚えていた。この日のライブ中、ずっとそうだったが、背景の巨大なスクリーンに映し出された視覚的な演出や照明による演出も理性を吹き飛ばす効果を与えていた。落ちサビでフロア中の人たちが高く腕を突き上げ、ともに歌いあげる様。最後に向かって最高の笑顔で騒ぐ観客たちの姿を見ながら、巽が言った「一番高いところへ行こう」の言葉。その言葉を信じて、絶対に離れないぞと胸に誓っていた。
でも、まだやってない曲があるんじゃないか?!彼らは、忘れ物を届けにステージへ戻ってきた。XANVALAは最後の最後に『CREEPER』を投げつけた。「さぁ乱れていこうぜ」の言葉を合図に、横モッシュが生まれれば、髪の毛をざんばらと振り乱すお馴染みの景色が誕生。観客たちは「ねぇねぇねぇ」と熱狂をねだりながら、この空間で5人に熱い愛撫を求めていた。いや、互いに最凶で最強の愛情を持って、全身汗まみで愛を交わしあっていた。最高の興奮と恍惚と絶頂をありがとう!!!!!
XANVALAは、ふたたび夢を現実に変える旅に出る。次は、2024年6月11日・Zepp Shinjukuだ!!!!!
PHOTO: @a_kwsk_1985
TEXT:長澤智典
《NEW RELEASE》
XANVALA NEW SINGLE
「本能」
2023.09.13 DIGITAL RELEASE
《主催フェス開催決定!》
XANVALA PRESENTS
「VASALA FEST. 2024」
◆2024年2月29日(木)
◆新宿BLAZE
※出演アーティスト等の詳細は後日お知らせします。
《全国ツアー開催決定!》
XANVALA TOUR 2023-2024
THE CULTURE
-Beginning-
TOUR FINAL -4th ANNIVERSARY-
2024.01.31 WED
下北沢シャングリラ
"THE CULTURE"
GRAND FINAL
2024.06.11 TUE
Zepp Shinjuku (TOKYO)
https://xanvala.com/news/fe37d38e-afd6-40d1-95f3-582ded6edc61
SNS
https://xanvala.com/
https://twitter.com/XANVALA
セットリスト
『誰が為の幸福論』
『デスパレート』
『MY BLACK』
『ratchet』
『落ちていく魔法』
『joke』
『明日、虫になっても』
『ジャノメ』
『冥冥』
『クチナシ』
『春が刺さる』
『終幕』
『リード・アクトレス』
『キネマ』
『ANS』
『アーティスト』
『ΛLIVE』
『XANADU』
-ENCORE-
『鮮やかな猛毒』
『Bamby』
『文明開花』
『左耳の悪魔』
『聖戰』
『NIX』
-W ENCORE-
『CREEPER』