運命の鐘が鳴らされた。今宵、一つの審判が下される。3月27日(火)、Scarlet Valseは渋谷Club asiaの舞台に立っていた。この日のワンマン公演の動員や内容が、10月に行う8周年記念単独公演の運命を左右する。その結果…の前に、この日の模様をお届けしようか。
その翼を羽ためかせ、熱狂の中へ飛んでいきたい。
心の嘆きを映す音の鏡のような音色。その調べは、何時しか勇壮な高鳴りに変わっていった。メンバーが姿を表すたびに起きる、絶叫。なにより、高まる期待。。。
その期待を破裂させるように、Scarlet Valseのライブは、バンドの姿をダイレクトに投影した『Reincanation』から幕を開けた。切なさ/嘆き/昂揚/優美/勇壮/壮麗/激情/感涙…Scarlet Valseを彩る様々な要素を呑み込んだ『Reincanation』に合わせ、フロアー中の人たちが頭を激しく振り、手にしたタオルをまわし、一人一人の背中に映えた真白な翼をはためかせ、5人と一緒に、描くべき物語の舞台を目指して羽ばたきだした。彼らが導くままに、その翼を羽ためかせ、熱狂の中へ飛んでいきたい。
Youの妖艶なギターの旋律に導かれ、流れた『Nocturne』。楽曲が轟くと同時に、会場は、暴れ狂う野獣たちが支配していた。突き刺す激しい演奏に触発された人たちの誰もが、感情の留め金を外し、頭を振り乱し、狂乱の世界へ身を委ねだす。
Shianの唸るベースが、身体を疼かせる。Kakeruの煽りに触発され、絶叫した声をぶつける観客たち。流れだしたのが、『Misty Night』。なんて、高ぶる気持ちへ導くドラマティックな楽曲だ。演奏に触発され、沸き上がる感情。サヒでは、Kakeruとファンたちが共に歌を口づさんでいた。途中、演奏中のRaizoの首筋に噛みつくKakeruの姿も。間奏で見せたツインギターの旋律の、なんて美しくも華やかだったことか。「Misty Night」と歌う観客たちの歌声へ、想いを重ね熱唱するKakeru。そして…。
場内へ流れたのは、闇に支配されたサーカス小屋へと連れだす、鈍い光を放つ轟音な演奏。『Darkness Circus』に感情を重ね合わせた観客たちが、まるで狂ったピエロのように右へ左へ踊りながら駆けてゆく。間奏では、逆ダイの光景も登場。Scarlet Valseが仕掛けたサーカス小屋での演目は、暴れ狂っていたあの瞬間が、醒めない夢の中の出来事だったと語るような、体感型の熱狂を描きだす夢魔のようだった。
「ここですべてを出し切ろう。詰めて、寄せて、アゲればいい。後ろの人まで見える環境を作りたいんだ。何故なら、近いほうが君らの笑顔が見れるんだもの」(Kakeru)
キザなKakeruの言葉とは裏腹に飛び出したのが、激しく、熱く、燃え盛った魂と演奏をバーストさせた『Flames』だ。観客たちが炎となり、身体中から感情を放熱してゆく。大きく開いた両手は、燃え盛る火の揺らめきのようにも見えていた。騒ぎ狂う観客たちのイカれた姿が最高だ。何より、その興奮を導き出したScarlet Valse自体がやるじゃない。
激しい音が吠えだした。炸裂した轟音の中、胸を揺さぶり嘆く歌を届けるKakeru。サビ歌に触れたときに覚えた高ぶる気持ち。とても胸を熱く揺さぶる感動な歌だ。『Phonix』、この曲は、どんな絶望の底からだろうと勇ましい気持ちで羽ばたく力と勇気を与えてくれた。
「存在理由を示しなさい」。情熱を解き放ち野生の踊り子と化したKakeruとメンバーたちが届けたのが、『Raison d'etre』。ほとばしる熱気を振りまくように、誰もが大きく飛び跳ね、燃え盛る感情をぶつけてゆく。互いに狂騒の中へ身を落としてこそ、それが「存在価値や存在している理由だ」と語るように。
この場所が君たちと俺たちの約束の場所でありますように。
ライブは、雷鳴にも似た轟き渡るYo-heyのドラムソロへ。普段は温厚な性格とは裏腹に、彼のドラムソロは、タイトな音の中へ滾る熱を注ぎ込んでいた。
「この場所が君たちと俺たちの約束の場所でありますように」。舞台に姿を表したKakeruは、そう語ると同時に、麗おしくも切ない旋律を折り重ねるピアノの音色に乗せ、美しいバラードの『Promise』を歌いだした。巡り合えたこの奇跡を、共に喜びとして分かち合うように想いを込め歌うKakeru。その歌声に触れていたら、いつしか瞼が滲んでいた。なんて気持ちを無垢な姿に戻してゆく楽曲だ。X JAPANの『ENDLESS RAIN』が好きな人なら、絶対にハマる素敵な楽曲だ。「これからもずっと側にいてください」。Kakeruの真っ直ぐな心の言葉が、頬に美しい涙の滴を誘ってきた。
戦いの始まりのような勇壮な音が場内へ鳴り響く。ふたたび舞台へ姿を現したメンバーたちへ向け、多くの絶叫が飛び交いだす。
「暴れてくぞー!!」、Kakeruの叫びに触発され、両手を上げた観客たちへ襲いかかったのが、とても重厚な、轟く音が身体を押し潰してゆく『Lunatic mind』だ。激しく頭を振り、激情した想いをぶつける観客たち。サビで一気に歌が開放したとたん、場内には無数の手の花が咲き乱れていた。その花は、いつしか拳の波となり、場内に大きなうねりを作りあげていった。
絢爛華美な音色が流れだした、情熱歌謡浪漫な香りを抱いた『Shadow's Game』の登場だ。フロアー中の人たちを熱狂の踊り子に変え、Scarlet Valseは情熱の宴の中へパートナーとして連れだした。間奏では逆ダイを描く様も。艶めいたこの熱狂が、たまらなく刺激的だ。
「祈りなさい」。儀式が始まるように、Scarlet Valseは荘厳で暗鬱な、ダークシンフォニアナンバーの『Virginal Bood』を叩きつけた。荒れ狂え、暴れ続けろ、共に奈落の宴の中、黒い熱狂に溺れてゆけ。興奮したKakeruはフロアーへ飛び下り、逆ダイの風景の中へ、観客たちをどんどん巻き込んでゆく。熱狂と興奮が次々と折り重なり合い、そこは何時しか絶叫に支配されていた。
これは、ライブ会場にいるからこそ味わえる喜びだ。
「君たちの心に響けばいいなと思い、ここで歌っています」。この日、訪れたファンたち全員に配ったサビ歌の歌詞を記したフライヤー。そこへ記されていたのが、「どんなに咲き乱れる 紅い薔薇の花達より その笑顔に心奪われ~何より輝いていた 一途な貴方の瞳で 僕は少し強くなれるよ」という言葉。応援してくれる仲間たちへの感謝を詰め込んだ『Dear』へ綴った歌詞の一節だ。とても優しい、何より、体温にも似た暖かい温もりを持った楽曲だ。「君たちがいるから俺たちは強くなれます。だから君たちも、俺たちを見て強くなってください。ずっと離さないから」、麗美な演奏の上で、Kakeruはそう語ってきた。サビでは、一輪の赤い薔薇を手にした大勢のファンたちが、一緒に歌を分かち合っていた。気持ちを一つに響く歌声が、心を震わせてゆく。ともに感動を分かち合っていたかった。何より、その歌声に心が奪われていた。
込み上がる感情のままに歌うKakeru。その歌声へ導かれるように、Scarlet Valseは情熱を抱いた激しさと華やかさを重ね合わせたシンフォニックハードナンバーの『Everlasting Life』を奏でだした。情熱の花を咲かせた光景が広がる場内。「大空を目指し羽ばたく夢 この身体朽ち果てても 君を連れてゆくから」。何時だってScarlet Valseは、仲間たちと共に未来を描こうと呼びかける。一人一人の心の支えがないと、彼らはScarlet Valseでいれなくなるからこそ…。
力強く、でも暖かい想いを歌声や演奏に投影し、Scarlet Valseは『La neige』を届けてきた。両隣の人たちと手を繋ぎ、演奏に合わせ、ゆっくりと身体を揺らすファンたち。同じ憧れに想いを注ぐ仲間たちが側にたくさんいるからこそ、僕らも沸き上がる楽しさを一緒に味わえる。ともに感動や昂揚、興奮を分かち合える。これは、ライブ会場にいるからこそ感じれる喜びだ。
ふたたび楽曲は熱く激しく吠えだした。『Story』が、騒ぎたい感情のスイッチを力強く押してゆく。フロアー中を白く埋めつくした、サビで舞うタオルの光景。大サビで場内中に響いたファンたちによる合唱。『Story』は、僕らをドラマの中へ連れてゆく。熱狂と興奮へ身を投じながら、心昂る感動も胸に覚えていた。
最後は、豪圧な音を畳みかける『No.6』だ。無我夢中で頭を振り尽くせ、昂る演奏に身をぶつけ、暴れ奉れ。これは、熱狂を分かち合う儀式だ。一人一人が狂い咲く花となり、会場へ、触れたとたんに火傷するくらいの熱した花を咲かせ続けていった。その花こそが、ここへ咲き誇るに相応しいと言うように。
猛り狂う宴こそ、Scarlet Valseのライブの楽しさ。
アンコールの演奏に先駆け、Scarlet Valseは幾つか新たな発表を届けてくれた。6月5日、池袋RUIDO K3にてRaizoの、6月25日には、同じく池袋RUIDO K3を舞台にShianのBIRTHDAY EVENTの開催が決定した。 7月12日には、渋谷VUENOSでKakeruのBIRTHDAY ONEMAN LIVも行われる。7月後半からはStarwave Records主催のイベントツアーへ参加することも発表。さらに9月20日には、7周年無料ワンマン公演を恵比寿Club aimで行う。しかも、その日を皮切りに、5都市6か所を舞台にした無料ワンマンツアーも決定。ファイナルは11月26日、渋谷REX。そのツアーへ向けてアルバムの制作も行われる。
その発表を受け、Scarlet Valseは激情と熱狂を描く『Rose Cruel Scar』を突きつけた。新たな発表を祝福するように熱を持って騒ぎ狂う観客たち。逆ダイ時には、Kakeruがフロアーへ飛び下り、マイクを手にしたRaizoが観客たちを熱く煽り続けていた。猛り狂う宴こそ、Scarlet Valseのライブの楽しさ。観客たちは、その空気を存分に楽しんでいた。
「ぶっ飛ばしていこうぜー!!、お前らの歌だ!!」、二回目のアンコールは、暴れ騒ぐ祭りの光景を描きだす『揚羽蝶乃夢』からスタート。楽曲やメンバーらに刺激を受け、全力で騒ぐ観客たち。サビでは、両手で蝶を作り、ユラユラとその手を揺らし続けていた。
「行こうよ!!」、今宵の最後を飾ったのが、シンフォニック&ハードな『Secret Eden』だ。ともに限界を越えながら、その先へ待ち受ける快楽を求め、会場中が一つになりはしゃぎ続けていた。
美しい熱狂と、滾る熱情を、触れた人たちの身体中へ注ぎ込むScarlet Valseのライブ。まだ未体験な人たち、次は、あなたがこの輪の中へ加わる番だ。
最期に、Kakeruの言葉を記そうか。「君たちがいるから、俺たちはここにいるんだと思う。何度もあきらめようと思ったけど、あきらめずにいて本当に良かった。絶対にいい夢見させてやるから覚悟しておけよ!!」(Kakeru)
TEXT:長澤智典
Scarlet Valse Web
http://scarletvalse.com/
Starwave Records Web
http://www.starwaverecords.jp
――セットリスト――
『Reincanation』
『Nocturne』
『Misty Night』
『Darkness Circus』
『Flames』
『Phonix』
『Raison d'etre』
Drソロ
『Promise』
SE
『Lunatic mind』
『Shadow's Game』
『Virginal Bood』
『Dear』
『Everlasting Life』
『La neige』
『Story』
『No.6』
-encore.1-
『Rose Cruel Scar』
ENCORE.2-
『揚羽蝶乃夢』
『Secret Eden』